研究概要 |
1.昭和60年度の研究実績 〈方法〉 5頭の雑種幼弱犬において2時間の体外循環(ECC)及び1時間の大動脈遮断(AXC)を行い、新生児乳児開心術中の心筋保護に関する予備実験を行った。 〈結果とまとめ〉 5頭中3頭がAXC後にECCから離脱し得たが、他の2頭は脱血不良により体外循環を維持し得なかった。心室デイメンジオンの解析を含めた心機能測定は、技術的困難があり、AXC前後で比較しうるデーターが得られなかった。AXC後のミトコンドリアスコア(MtS)及び細胞内浮種(Ed)は3頭ともAXC前に比し悪化したが、3頭間に有意差は認めなかった。水分含量(%WC)においても有意差を認めなかった。 2.昭和61年度の研究実績 〈投与量の検討〉 生後2日以内の新生仔家兎(n=18)の摘出心で、cardioplegia(CP)による心停止後、2時間の虚血と30分間の再灌流を行った。CPは4℃GIKで、初回のみ投与のsingle dose(S)群(n=9)と初回投与後20分毎に半量追加のmultipledose(M)群(n=9)で心筋保護効果を比較した。S群はM群に比し、MtS,EdS,心拍数回復率(%HR)及び%WCの面で優れた心筋保護効果を示した。 〈組成の検討〉 同様に新生仔家兎(n=27)の摘出還流心を用い、GIK-CP投与のI群(n=9),Ca,Mg添加GIK-CP投与の【II】群(n=9)及びCa,Mg,PG12analogue添加GIK-CP投与の【III】群(n=9)で心筋保護効果を検討した。【III】群は、I群及び【II】群に比しMts,EdS,%HR,及び冠流量回復率の面で優れた心筋保護効果を示した。
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