研究課題/領域番号 |
60480319
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
前田 昌純 香川医大, 医学部, 教授 (30028427)
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研究分担者 |
安部 陽一 香川医科大学, 医学部, 教授 (10047227)
中村 憲二 香川医科大学, 医学部, 助手 (30172399)
南城 悟 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80144492)
池田 義和 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (40112031)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1986年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1985年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | 肺移植 / reimplantation response / 肺保存 / ischemic injury / ATP / HPLC法 |
研究概要 |
肺移植時の多様な障害因子のうち、拒絶反応と異ったreimplantationresponseは、移植肺の保存中のischemic injuryと、移植後のreperfusioninjuryが、大きな要因と考えられている。ischemic injuryによる保存肺のviabilityを生化学的にATPをマーカーとしてミトコンドリアの経時的失活肺で検索し、肺保存方法の至適条件を追求した。対象は、雑種成犬肺およびヒト肺で、保存法として、室温と低温保存、および含気状態と脱気状態で、経時的に肺のsamplingを行ない、ATPレベルの変化を比較した。ATPの抽出は凍結乾燥後、過塩素酸で除蛋白、Homozinizeし、その測定は、High PressureLiquid Chromatography法で行なった。犬とヒト肺のin situでのATPは各々5.4±1.0・4.4±0.4μmol/g dry weightであった。8時間までの経時的変化はヒト、犬肺ともに、ほとんど変化なく、又、保存温度でも有意の差がなく、ATPは3時間で、ほとんど消失するという従来の報告と異っていた。他臓器との比較のため肝でのATPレベルをみると、in situで10.3±0.7μmol/g dry weightから15分で、ほぼ1/5に急速に低下し、低温保存で有意に高かった。細胞レベルでの必要酸素分圧が数mmHgであることを考えれば、肝と異った肺のこの臓器特異性は、肺のpurine nucleotideの代謝経路が他の実質臓器と異ること以外に、肺胞内にtrapされたairにより、ischemiaとなっても、anoxic stateにならないことが示唆された。肺の脱気を行なうと、室温保存で8時間後にATPは、ほとんど消失した。 以上の結果より、肺は虚血に強く移植に適しているが、長期保存のためには、無気肺を予防し肺の含気を維持することが必要と考える。これらの成績は、肺移植の臨床に直ちに用いうる知見といえる。
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