研究分担者 |
川本 恵一 広島大学, 医学部, 助手 (10192006)
向田 一敏 広島大学, 医学部, 助手 (70183647)
迫田 勝明 広島大学, 医学部, 助教授 (00112194)
伊藤 明弘 広島大学, 原爆放射能医学研究所・放射線誘, 教授 (60034633)
大田 正博 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (20136071)
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研究概要 |
ホルモン分泌性下垂体腺腫組織を用い, 1)培養法の検討とその培養法を用いて, 薬剤と温熱に対する効果を2)ホルモン分泌能および3)形態学的観察より調べた. 1)ポリ・リジンでコート処理したディシュは細胞の接着能を高め, 長期間ホルモン分泌量を維持する事が明らかとなった. Bromocriptine(BC)処理によりプロラクチン(PRL)分泌抑制の反応にも鋭敏で, 処理中止後の薬剤の持続効果を対照群と比較検討するのに優れていた. 2)BC, Somatostatin誘導体, SMS-201-995(SMS)および温熱処理はいずれもPRL成長ホルモン(GH)分泌量を抑制した. 抑制効果は薬剤の用量や温度の上昇にほぼ依存して高まった. また処理中止後, ホルモン分泌量のリバウンドが認められたが, 多くの場合, 対照群と有意な差が認められた. 一方, BCと温熱との同時処理はそれぞれ単独処理に比べ, 増強効果が認められた. 特に41.5°CとBC同時処理は42.5°C単独処理と同様に, 処理中止後14日目にホルモンは検出限界以下であった. この効果はBCの濃度より温度に依存した. 3)電顕の観察より, BC, 温熱処理群全てにおいて, 一部のGH, PRL産生細胞でその細胞質中に空胞化が認められた. このような変化はBCの濃度や温度の上昇に依存して, その程度や頻度が増加した. 一方, SMS処理の場合, 顕著な変化は認められなかった. 一方, 光顕の観察で, 処理直後の細胞は10Mg/mlBCと42.5°Cを除き, 変化は検出できなかったが, 処理中止14日後の細胞は全ての温熱とBC処理群で障害が認められ, 生細胞は減少していた. また免疫染色によるホルモン産生細胞数の周定から, 上述の知見を定量的に確認できた. 以上の結果から, ホルモン分泌量の低下はホルモンの分泌抑制と産生機能の低下より, 殺細胞作用による生細胞数の減少と考えられた.
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