研究概要 |
目的:各種脳腫瘍培養細胞が発生する超微量熱量をin vitroで測定し、腫瘍特異性を検討すると共に各種薬剤・γ線照射に対する発熱反応性を検索し、熱力学の面より新しい脳腫瘍の診断と治療応用への可能性を検討した。方法:熱量測定にはMicro-Calorimeter(ESCO,BC-01,電子科学KK)を用いた。実験1)細胞種類と発熱量-20種類の脳腫瘍培養細胞の発熱量を検討した。実験2)細胞の大きさと発熱量.実験3)細胞数と発熱量,実験4)発熱量におよぼす薬剤効果-9L細胞に制癌剤,膜作用物質,代謝・酵素系薬剤各種作用させ発熱量に及ぼす効果を検討した。実験5)細胞周期と発熱量-9L細胞にadriamycin(ADM)を作用させ経時的に発熱量を測定すると共にFACSで細胞周期を解析し相互関係を検討した。実験6)γ線照射と発熱量-γ線が9L細胞の発熱量と細胞周期に及ぼす影響を検討した。 結果:実験1)20種類の脳腫瘍培養細胞は各々異った発熱量をしめしたが、初代培養の髄膜腫(n=4)は46.8±19.3μg/3×【10^6】cellsと最も高く次いで長期継代ラットグリオーマとヒト神経膠芽腫であった。 実験2)細胞の直径の大きいものは小さいものに比べ発熱量は高かった。 実験3)細胞数の増加に伴い直線的に発熱量も増加した。 実験4)1時間以内の短時間で発熱量の増減をきたした薬剤はprocain,ca拮抗剤,comA,などの膜作用物質とADP,Na【N_3】などの代謝および電子伝達系作用薬剤であった。24時間経て徐々に影響をおよぼすものにはDNA合成に関与したADM,ACNU,LFNなどであった。 実験5)S期および【G_2】-M期の細胞の発熱量が高い傾向がみられた。 実験6)1000,1500rad照射24時間後に発熱量増加をみた。【G_2】-M期およびS期細胞の畜積がみられた。 考察:腫瘍細胞の発熱量は異なり薬剤に対しても多様性の反応を示し、腫瘍特異性の解明および新しい感受性試験の応用などに期待出来ると、考えられる。
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