研究課題/領域番号 |
60480333
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
坪川 孝志 日大, 医学部, 教授 (80058958)
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研究分担者 |
片山 容一 日本大学, 医学部, 助手 (00125048)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1986年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1985年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 脳細胞移植 / 脳浮腫 / 縫線核 / セロトニン / 海馬 |
研究概要 |
両側5-HT denervationラットをもちいて、胎児ラット縫線核細胞の脳内移植(cell-suspension法)を行い、行動学的・神経化学的・神経生理学的・神経組織化学的諸側面より、移植された脳細胞の機能状況(1〜15週)について検討を加えた。さらにこの結果をふまえ、水頭症ラットにおいて著しい間質性浮腫を生じている領域に縫線核細胞を移植してその生着状況を観察することにより、病的状態下での脳細胞移植の可否あるいはその価値についての検討をすすめた。縫線核細胞を片側海馬に移植された両側5-HTdenervationラットは、片側海馬5-HT denervationラットにみられるのと同様の、asymmetrical turningを示し、縫線核細胞が生着しかつその出力系が実際に機能していることを裏付けた。これが移植された海馬には、正常値をはるかに上回る5-HTおよび5-HIAAが存在することがHPLC-ECDにより確認された。このような一見過剰とも思われる5-HT代謝は、移植された縫線核細胞の出力系が単に移植部位の機能に組み込まれたにとどまらず、他の領域にも線維をのばして、新しい縫線核として機能しているものであることを示唆するものであり、この可能性は免疫組織化学的にも裏付けられた。移植された縫線核細胞は正常ラットの縫線核細胞と同程度の頻度で放電しており、5-HTagoristはその放電を抑制することからautoreceptorがあることが示された。しかし末梢刺激には全く反応せず、入力系の調節はまだ受けていないと考えられた。縫線核細胞は間質性浮腫の領域にも移植可能で、しかも浮腫のない場合よりも広範囲に生着していた。この結果は、急性の脳損傷においても、これが瘢痕化を始める以前に脳細胞移植を行うことができる可能性を窺わせるものである。また、急性の脳損傷に伴う種々の病態のうち、cytotoxicに作用する成分と、組織修復に不可欠な成分との区別を、この方法によって解明していける可能性を示すものである。
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