研究概要 |
脊椎後縦靭帯骨化症(以下OPLLとする)の成因および発症機序を解明するため(1)家系調査, (2)双生児調査および(3)血液型などの調査を行い, OPLLの遺伝性と遺伝機構について検討し以下の結果を得た. 1)家系調査について 家系調査資料を用いてOPLL発端者の子供の分離比および同胞の分離比から単純劣性および優生遺伝の仮説への適合性について検定した. しかし調査例数が少ないために決定的結論は得られなかった. 他方同胞再現率から多因子遺伝の仮説への適合性を検討したところ, 本仮説に適合する結果が得られた. 2)双生児調査について 5組の1卵生双生児と1組の2卵生双生児の資料を検討し, 1卵生の一致率が2卵生に比べ高いことより遺伝要因の関与が大きいことがはっきりとした. さらに1卵生の一致率から3/5=0.6で2卵生の一致率0/1より高く, これらの比から, 調査例数が少ないとはいえ多因子遺伝の仮説を示唆する傾向を認めた. 3)血液型など遺伝マーカーの調査 OPLL発症機序を解明するため血液型(7種類), 血清型(6種類), 赤血球酵素型(3種類)の計16種類の遺伝マーカーについてOPLL発端者98名につき調査して, 東京近郊在住の健常集団の頻度と比較した. 分析の結果有意な関連を有する型はみられなかった.
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