配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1987年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1986年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1985年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
骨巨細胞腫, 悪性骨巨細胞腫の組織起源を解明する為に3年間に至って下記の如き実験的研究が行なわれた. 60年度 我々は悪性骨巨細胞腫の1例でヌードマウス可移植株の樹立に成功したので, この株を用いて移植および培養による形態学的変化の観察, 電顕による超微細構造の観察, 免疫組織化学的手法による細胞機能学的な側面の観察を行った. その結果, 移植細胞は継代を重ねるに従い紡錘形の細胞が多くなるが一部に巨細胞の起源を思わせる様な星状から立方体の組織球様基質細胞もみられ, これらの基質細胞は免疫組織化学的な検討でも組織球によくみられるsurface markerが陽性であった. 61年度 前年度に引き続き悪性骨巨細胞腫の移植株については移植を続け, 又種々の条件下で培養を続け継代に伴う形態学的な変化を調査した. 又機能面での観察としては, この細胞のコラゲナーゼ活性と墨汁に対する貪食能をみた. 一方骨巨細胞腫の16例に関しても, 光顕, 電顕により形態学的な観察と共に貪食能, 免疫組織学的観察が行なわれた. その結果としては悪性骨巨細胞腫の培養細胞は非常に高いコラゲナーゼ活性を示し, 組織球的な性格を思わせた. 骨巨細胞腫の構成細胞の超微細構造は組織球的な組織起源を思わせるものであり, 機能面での観察でも巨細胞や星状基質細胞では組織球的な性格が保たれていた. 62年度 組織的, 臨床的に悪性骨巨細胞腫に非常に類似していると云われる悪性線維性組織球腫(MFH)の13例とコントロール群としての2種類のfibroblastに対して, 前年度と同様の研究が行なわれ, そのデータが比較された. その結果は形態学的観察, 機能学的観察共に巨細胞腫に対して行われた研究結果と同じ傾向がみられた. この結果は対照群のfibroblastが示した結果とは異なっていた. 以上の実験結果から, 上記三種類の腫瘍は共に組織球的な性格を強く持った細胞から由来した腫瘍である事が示唆された.
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