研究概要 |
昭和54年から開発した骨量計測の症例は本年度で5000例に達した. 本年度の研究実績は以下の3項目に大別される. (1)健常小児の成長期における橈骨骨量推移 橈骨遠位1/6部位の海綿骨領域では男女ともに思春期までは比較的ゆっくりした骨量の増加を示し, 女児では10歳頃, 男児では13歳頃より思春期にかけて急激な骨量増加がみられた. 一方, 橈骨遠位1/3部位の皮質骨領域では男女ともに15歳頃までほぼ一定の割合で増加し, 海綿骨と皮質骨で加齡的骨量推移の異なることを明らかにした. また, 骨密度BMC/BWは暦年令, 身長, 体重, 骨年齡と有意な正の相関を示した. 上述の健常小児の骨量推移とホルモン依存性骨障害児の骨量を比較・分析した. (2)骨粗鬆症のADFR療法 橈骨骨量をモニタリングしながら19名の原発性骨粗鬆症患者(平均年齢67.6歳)を対象にADFR療法を施行した. その結果, 19例中11例(57.9%)で有意に骨量増加が得られ, 19例中5例(26.3%)では骨量が減少することなく維持された. しかし, 19例中3例(15%)では治療を行ったにもかかわらず有意に骨量が低下した. ADFR療法には治療に応答するレスポンダーと, 応答しないノンレスポンダーのあることを明らかにした. (3)ADFR療法の実験的裏付け 生後83〜104ヵ月齢雌ビーグル犬12匹に対してADFR療法を施行し, 19ヵ月後に2.1%の骨量増加が得られ, 組織形態計測により検討を加えた.
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