配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1987年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1986年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1985年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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研究概要 |
現時点においても早期発見・早期治癒手術が唯一の根治療法である腎細胞癌における特異的腫瘍マーカーの確立を目的として, 胎盤性ロイシンアミノペプチダーゼ(placental leucine aminopeptidase,P-LAP)に着目して臨床的検討を行った. 血清P-LAP値の測定は, L-leucyl-p-diethylanilideを合成基質とした酵素法で行い, 併存する他のLAP値は2mMのL-methionineを共存させてブロックした. 検討対象症例は健常男性135例, 尿路疾患243例の合計378例であった. この他に, 14例の腎細胞癌患者から経時的に38回採血してフォローアップマーカーとしての意義についても検討した. まず, 血清P-LAP値の正常値については, 健常群の平均±2標準偏差値から22-67G-R'unitsと定めた. 女性例では, 水谷らの報告に基ずいて, 同様に20-49G-Runitsを正常範囲とした. 次いで, 腎細胞癌診断における血清P-LAPの意義について検討すると, 男性例では50%の感度と94%の特異性であった. しかし, 女性例では検討例が少数であったためもあり, 意義を認めることはできなかった. また臨床経過と血清P-LAP値の変動については, 根治手術施行例では正常値内への収束を示し, 残存腫瘍を認める症例では異常値内変動または正常値から異常値への変動を認めた. この現象は, 診断面での意義の乏しかった女性例でも観察された反面, 血清LAP値による検討では認められなかった. 血清P-LAP値とLAP値との相関性は極めて高く, (r=0.779,腎細胞癌群), 用いた方法での交差反応は避けられなかった. このため, よりspecificにP-LAP値を測定すること, さらには免疫組織化学への応用をはかる目的で, 抗原の精製と抗体の作製を現在行っている. この成績については, 近々に発表できる予定である.
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