研究分担者 |
阿曽 佳郎 東京大学, 医学部医学部, 教授 (00009961)
太田 信隆 浜松医科大学, 医学部, 講師 (50160510)
大田原 佳久 浜松医科大学, 医学部, 助手 (80124717)
田島 淳 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (10111808)
牛山 知己 浜松医科大学, 医学部, 助手 (50176658)
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研究概要 |
1, 臨床的研究:両側性副腎腺腫によるクッシング症候群1例, 両側性原発性副腎皮質結節性過形成1例, 両側性褐色細胞腫1例の3例に副腎自家移植を実施した. 移植副腎が生着したと思われるのは両側性原発性副腎皮質結節性過形成である. 術前よりACTH分泌が低下している両側性副腎腺腫, 両側性原発性副腎皮質結節性過形成では移植組織の生着を促すため, 術後のACTH補充が必要であり, また, 萎縮した副腎皮質だけでなく, 腺腫部あるいは過形成部も一部移植する必要がある. 両側性褐色細胞腫でも術後のステロイド補充が過剰になりACTHが抑制されないよう注意が必要である. 今後, これらの事実と動物実験で得られた知見をもとに自家移植後の補充療法などを工夫して生着率を高めていくつもりである. 2.基礎的研究:ラットを用いた副腎自家移植の手技を確立した. 方法は, 両側副腎摘出後, 副腎の一部を細切し腹筋内へ移植した. (1)生着過程:移植副腎は7日目より被膜に接した球状層の細胞から再生し, 28日目には層状構造を認め, 56日目には3層構造をもつ副腎皮質がほぼ完全に再生した. (2)移植部位:腹筋, 大腿筋, 脾臓, 腎被膜下に移植してみたが移植部位による生着の差はなかった. (3)移植副腎の大きさ, 量:1個の副腎の1/2,1/4,1/8,1/16分割を移植した. 1/2分割を移植した群のみ60%しか生着しなかったが他群では全例生着した. 非生着例では移植組織の萎縮を認めたが, 生着例では移植片の大きさによる組織学的な差はなかった. (4)移植後補充療法:ステロイド補充のみの群は, 生着せず移植組織は萎縮し, 血中ACTH.corticosteroneともに低値を示した. ステロイドとACTH補充う行った群は生着し, 血中corticosterone濃度も生存に必要なレベルに達した. ステロイドの補充のみではACTHを抑制し, 移植副腎の生着を妨げることが示唆され, 臨床例でもACTHの補充が生着に好影響を与えると考えられる.
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