研究概要 |
リンパ球のNK活性の測定を^<51>Crリリース法と細胞内ATP量測定によるケミルミネッセンス法の2法で行ない, 両者の相関を認めた. ケミルミネッセンス法は多数検体を一度に処理することはできないが, 実験室内で簡便に操作できる点ですぐれていると考える. そこで膀胱癌患者の抗腫瘍能を細胞性免疫能の点から調査する目的で, 癌患者10例とコントロール群として良性疾患患者3例の末梢血と領域リンパ節のNK活性をケミルミネッセンス法を用いて測定し, 同時に各々のTceppサブセットをモノクローナル抗体(Leu2サプレッサー/サイトトキシックTcepp,Leu3ヘルパー/インデューサーTcepp,Leu4 panTcepp,Leu7・LI NKcepp)を用いて検訴した. 末梢血リンパ球のNK活性はコントロール群, low stage群, high stage群の順に低下していたがLeu7,Leu11陽性細胞は逆にhigh stage群ほど増加していた. また領域リンパ節のNK活性は3群とも4-10%と末梢血の活性よりもかなり低下しており, Leu7,Leu11陽性細胞もやはり0〜1.9%と少なかった. Leu4は全てのT細胞に対する抗体であるが, 末梢血では各々79.1%, 71.0%, 67.5%とhigh stage群ほど低下しており, リンパ節では76〜83%がT細胞で3群間に差は認めなかった. Leu2陽性細胞は末梢血では3群とも同程度であったがLeu3陽性細胞はhigh stage群ほど減少しておりLeu3/Leu2比が低下していた. リンパ節では逆にhigh stage群ほどLeu3陽性細胞が増加しており, Leu3/Leu2比が上昇していた. さらに腫瘍局所のリンパ球分布を知ることも抗腫瘍能を知るうえで重要と考え, 腫瘍組織をTcellモノクローナル抗体を用いて検訴してみたところ, Leu7, Leu11陽性細胞は局所ではほとんど認められず, Leu3陽性細胞が最も多く分布していた. 腫瘍をとり巻くようにLeu2陽性細胞が存在しその外側にLeu3陽性細胞が多く認められた. 今後症例を重ねて, これらの意義を解明したい.
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