配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1987年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1985年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
|
研究概要 |
極小未熟児の新しい哺育法開発のため, また, 胎児生理解明のための実験モデルとして,ヤギ胎仔を用いた水中哺育実験を行った. 体外循環の潅流方法は,臍帯血管を用いたA-パイパス法と, 頚部血管を用いたV-A-バイパス法を行った. 人工透析装置・血液フィルターの回路内挿入や, 電磁流量計およびコンピューターを利用した潅流量自動制御システムなどの開発により, 次第に生存時間は延長されていった. しかし, 現在までの最長生存時間は34時間であり, 残念ながら当初の目標である水中での成熟を期待する程までにはいたっていない. 臍帯血管を用いたA-バイパス法は生理的な潅流方法であるが, 体外循環開始直後の循環動態が不安定であることが次点であり, 初期の実験では潅流開始後早期に胎仔が死亡する例がみられた. これに対し, 頸部血管を用いたV-A-バイパス法は胎仔にとって非生理的な潅流方法ではあるが, 右心補助循環であるため, 循環動態が安定していることが特徴であり, 体外循環早期の胎仔死亡はみられなかった. 但し, 最近は, 体外循環時の管理方法の改良などにより, 前者においてもより安全に円滑に体外循環に移行することが可能になってきており, 生存時間に関しても, 後者を上回るようになっている. なお, 前者において胎仔血管造影検査を行ったところ, 生理的な血液ガス分圧で潅流を行った時も, 動脈管の収縮が認められることが多かった. 動脈管の収縮は, 胎仔の循環動態に悪影響を及ぼし生存時間を短縮している可能性があり, 動脈管を開大させておく方法の開発が長期生存のポイントとなると思われる. 以上の結果により, 体外循環, ことに臍帯血管を用いたA-Vバイパス法において, 水中哺育法の臨床的実用性の可能性を示唆し得た.
|