研究課題/領域番号 |
60480383
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
水越 治 京府医大, 医学部, 教授 (70079896)
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研究分担者 |
山田 千冬 京都府立医科大学, 耳鼻咽喉科学教室, 助手 (20347462)
安田 範夫 京都府立医科大学, 耳鼻咽喉科学教室, 助手 (00182337)
水越 文和 京都府立医科大学, 耳鼻咽喉科学教室, 助手 (80166008)
橘 正芳 京都府立医科大学, 耳鼻咽喉科学教室, 助教授 (90112515)
MIZUKOSHI Fumikazu ditto (70079896)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1985年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | Vestibular compensation / Hemilabyrinthectomized rat / Lateral vestibular nucleus / Cholinergic neuron |
研究概要 |
片側末梢前庭器官障害時の種々の平衡機能障害の症状は速やかに中枢レベルで代償されることが知られており、この現象はVestibular compensation(VC)と呼ばれている。この現象の発現機構を中枢前庭系に対する生化学的手法を用いて解明し、ひいては前庭機能障害患者に対する薬物治療法確立をめざす努力の一環として下記の如き研究を行い、成果を得た。 1.ラットを用い、その片側内耳をエンフルレン麻酔下に手術的に破壊する方法を確立した。術後、動物は首の傾き等の種々の典型的な片側末梢前庭機能障害の諸症状を示したが、各症状は各々固有の速度をもって代償された。 2.上記方法にて片側内耳破壊したラットに種々の薬剤を全身投与し、首の傾きの改善をVCの指標として、これらの薬剤がVCに及ぼす影響を調べたところ、コリン作働性神経系、及びグルタミン酸作働性神経系に関する薬剤が、VCの過程に最も強い影響を及ぼすことがわかり、VCの発現にこの2つの神経伝達物質作働系が関与している可能性が示唆された。 3.そのうちのコリン作働性神経系がVC発現に演ずる役割を調べるため、片側内耳破壊後の種々の時間において、ラットの前庭神経外側核におけるコリン作働性ニューロンの伝達物質の動態の神経生化学的解析を試みた。まず伝達物質であるアセチルコリン量には有意な変化を認めなかった。またアセチルコリンエステラーゼ活性も有意な変化を示さなかったが、コリンアセチルトランスフエラーゼ活性は、術後15分の時点において健側の核にて低下を示した。しかし、高親和性コリン取り込み能、アセチルコリン放出速度、ムスカリン性アセチルコリン受容体量には術後15分の時点で有意な変化がなかった。以上より、VCに関与する可能性のある中枢のコリン作働性ニューロンは前庭神経外側核以外の部位に求めねばならないであろうと思われる。
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