研究課題/領域番号 |
60480385
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
本多 芳男 慈恵医大, 医学部, 教授 (40056479)
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研究分担者 |
清水 佐和道 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10147324)
山口 展正 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60130209)
森山 寛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60125036)
佐野 真一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80057059)
梅澤 祐二 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (90056945)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1986年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1985年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 真珠腫 / 滲出性中耳炎 / 側頭骨の気胞化 / 鼓室狭部 / 真珠腫の成因 / 鼓膜の表皮 / 鼓膜の線維 |
研究概要 |
中耳真珠腫は無穿孔鼓膜の部分的陥凹が上鼓室より乳突腔に進展して発症する。そして前疾患は幼児期の滲出性中耳炎である。また鼓膜陥凹は弛緩部と緊張部の2ケ所あり真珠腫も自ずとこ型に分類される。 本研究はテーマに示された内容を解明することを目的に行われた。臨床的には手術による真珠腫上皮の中耳腔進展のメカニズムの解明、小児滲出性中耳炎例の長期間観察、耳小骨融解機転を研究した。また、人側頭骨の形態研究、特に上鼓室ならびにtympanic isthmusの研究、側頭骨気胞化の抑制因子と再気胞化現象、滲出性中耳炎粘膜の分泌細胞の消長等につき人標本ならびに動物実験により研究した。また真珠腫の上皮細胞および鼓膜の表皮細胞の培養実験により、これ等上皮細胞の増殖因子の解明のため炎症産物であるヒアルロンサン,エンドトキシン(LPS)などの増殖への関与を研究し、また上皮細胞と線維芽細胞の関与の重要性を研究した。 以上の結果より滲出性中耳炎より真珠腫への移行を促進する因子は小児期の耳管の換気不全であり、その結果発生する側頭骨の気胞化の抑制、それによる乳突腔への通気ルートの閉塞は真珠腫生成を大きく促進する。またそれによる上鼓室・乳突腔内腔の陰圧、上皮増殖因子の上鼓室内の存在と鼓膜表皮細胞の増殖に対する被刺激の存在、tympanic isthmusの閉鎖、鼓膜の癒着と耳小骨の消失などは真珠腫形成を促進する。 一方、真珠腫への移行を阻止する条件は、耳管機能の早期改善、鼓膜の中心穿孔の発生、乳突腔の気胞化の再形成、isthmusの閉鎖の防止、鼓膜癒着の防止である。これらは別々の条件ではなく、相互にオーバーラップの見られる条件である。鼓膜の中心穿孔の存在は真珠腫の発現を阻止する。同じ意味でチューブ留置療法は気胞化の形成を促し、真珠腫への進展を予防する。
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