研究概要 |
骨芽細胞は骨基質の形成や石灰化に直接関与するだけなく、生体内Caの恒常性にも重要な役割を果たしている。この骨芽細胞の機能をよりよく理解するため、骨芽細胞の培養法の確立を試み、更にそれを利用して骨形成過程での骨芽細胞の動態を超微細構造学的に明らかにすることを目的とした。 生後1-2日令のラット頭蓋骨からコラゲナーゼのSequential digestionにより、bone cellsを分離し、modified BGJ medium中にて培養を行った。培養開始後、5日には細胞は丸みを帯び、confluentに達し、一部は重層になっていた。電顕的には良く発達したゴルジ体,やや拡張した粗面小胞体,ミトコンドリアなどを有していた。またグリコーゲンを多量に含有する細胞もあり、前骨芽細胞を含むと思われるが、それらの大部分は主として骨芽細胞であると考えられ、これを利用し石灰化機構,電解質輸送機構と関連の深い細胞内Ca超微構造的局在、ALPase,Ca-ATPase等の酵素活性局在について検討を行った。異なるCa濃度で培養後、K-pyroantimonate法により観察、対照群と比較した。K-pyroantimonateによる不溶性沈澱物は主としてミトコンドリア,細胞内小胞,形質膜に沿って認められ、細胞外基質からCaを取り除いた培養系ではこれらの細胞内局在の減少が観察された。この方法は骨芽細胞によるCaの調節機構を検索する上で重要なものと考える。 ALPase,Ca-ATPaseは両酵素共に極めて強い活性が形質膜に沿っており、ゴルジ体,小胞構造にも観察され、in vivoの骨芽細胞と酷似した性質を示した。又、骨の非コラーゲン性タンパクについてはその抽出、単クロナール抗体の作製を試みた。抽出には4M guanidine,0.5M EDTAを用いた。BALB/cマウスで、通法に従いミエローマ株細胞とのhybridizationを行い、ELISA法により抗体形成を調べているが、その確認は得られていず、抗原の精製法,投与方法等を現在検討中である。
|