研究概要 |
仕上げ研磨法の適否は修復物の予後を左右する重要な因子である. 現在市販されている修復用コンポジットレジンは, 製品によってその組成は多岐にわたり, 単にベースレジンが異なるだけでなく, 種類や粒度分布の異なるフィラーが配合されているため, それらの各種コンポジットレジンそれぞれについて適切かつ能率的な研磨法は確立されていない. かような観点から本研究は, これらの種々のコンポジットレジン材料について, それらの組成に対応した適切かつ能率的な仕上げ研磨法を確立することを目的として計画された. 各種コンポジットレジンの中から比較的研磨が困難とされてしるSemi-hybrid型レジン1種, および比較的容易とされているHybrid型1種, 並びにSFR型2種を選び, これらについて現用の各種回転研磨用具を用いて研磨を行い, 表面粗さ値と研磨面の走査型電顕観察の両者から検討を試みた. その結果, 0.2〜0.3μmのサブミクロンフィラーが密に一様に充填されているSFR型レジンでは, 従来から行なわれてきた粗さの違うジスクやポイントをシリーズで順次用いる方法をとらなくても, スーパーファインのダイヤモンドポイント仕上げ後に, 比較的目の細かい研磨用具を直接使用しても, 容易に滑沢な面に研磨することが出来, 従来の術式の簡易化が可能となった. これに対してHybrid型レジンの製品では, フィラーにも硬軟があり, 流水下で研磨用ジスクをシリーズで用いたり, シリコンポイントのブラウンとブルーを順次用いることにより, SFRほどではないが滑沢な面が得られた. 今回使用した中で最も研磨が困難とされたSemi-hybrid型レジンでは, 従来硬質金属の仕上げ研磨に用いられていたシリコンポイントを使用することにより, 従来の研磨法では得られなかった粗さ値で1μm内外の滑沢な研磨面が得られた.
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