研究概要 |
老化の過程に生じる歯牙欠損の症例で天然歯列に対咬する有床義歯臼歯人工歯の合理的咬合関係と、その形態を如何にすべきかを明確にする目的から、人工歯形態及び咬合接触の微小変化が顎口啌条に及ぼす影響を客観的に稔出する必要性にせまられた。同目的から咀嚼筋活動ΣI-EMG,下顎運動の称相でMKG出力,等合計12チャンネルをA/D変換しコンピューター入力し演算処理収録後比較判定基準とし効果判定のシステム化を行った。これまでに、同システムの概要、試作人工歯の臨床操作法、同咬合面頬舌径の削減による咀嚼リズムの改善、放電持続時間の短縮、義歯装着による筋活動量の経時的増加傾向、および筋肉の協調性の向上、さらに欠損部顎堤形態と床外形、対咬歯支持咬頭との幾何学的相対関係等について報告してきた。本年は従来の臨床実験の患者群資料を対象として最も口腔機能時にその周辺末梢神経入力が関与すると考えられる咀嚼運動路の様相を検索するコンピューター.ロジックの開発とその臨床応用を試み以下の結果を得た。1.残存歯列のみの咀嚼と義歯装着による臼歯部咬合回復後を比較すると食品による傾向の変化は存在するが前頭面における咀嚼サイクルパターンの長軸に対する短軸の軸度比が増大する。2.開口、閉口路角の和が著るしく増大する傾向がみられた。これは特に開口路角の増大に起因することが分った。この傾向は義歯装着期間が一定期間経過すると義歯離脱後も残留することが分った。3 臼歯部での天然歯と有床義歯人工歯による支持が安定すると咀嚼筋群の機能時の筋協調性が変化し、特に両側側頭筋前腹間の相関が向上する。4 咀嚼サイクルパターンの分類と義歯の影響については特にブラインデイングタイプの発現頻度の増加がみられた。
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