研究概要 |
1.牛骨由来骨形成因子(BMP)の部分精製 牛脱灰骨から、2種類の方法によって骨形成因子活性画分(crude-BMP,Gu-ex.)を部分精製し、ラット頭頂部骨膜下移植および背筋内移植による活性検定を行った。 2.BMPの高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)による精製上記両画分をHPLCによって分析し、特に、Gu-ex.画分に関じては、分子量を基準に分集し、同様に各画分の活性検定およびSDS電気泳動による分子量の推定を行った。 1.2.の結果:1)活性画分(crude-BMP,Gu-ex)を骨膜下に移植すると、2,3週後に軟骨,骨形成がみられた。2)HPLCにより分集した14Kと18Kの画分は混合して脱イオン水に透析すると沈澱(14K+18K)として得られた。3)14K+18Kの画分を骨膜下に移植すると、2週後に旺盛な軟骨,骨形成が、3週後に著明な骨形成がみられた。4)14K+18Kの画分を背筋内に移植すると、3週後に骨形成がみられた。5)HPLC分析所見、活性検定所見および電気泳動所見より、BMPの分子量は約18000と推定された。 3.部分精製界分(14K+18K)吸着ハイドロキシアパタイトセラミック(HA)の骨膜下移植 14K+18Kの画分を4M塩酸グアニジンに再溶解し、HAをこの溶液に24時間浸漬することによって、BMP活性画分をHAに吸着させて骨膜下移植による活性検定を行った。しかし、結果として、BMP活性は僅かしか認められず、この方法では14K+18Kの画分を充分にHAに吸着させることは出来なかった。この2年間で、臨床にすぐ応用できるBMP吸着HAの開発には到らなかったが、本研究により精度の高いBMPの精製法が確立されたことは非常に意義深いことである。
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