研究概要 |
本年度行った研究実績は以下の如くである。 1).関節鏡視下手術の症例数追加,経過観察ならびに臨床結果の評価。 関節鏡視下手術の対象は60年度の実績を考慮し関節腔内の線維性癒着症,線維症,習慣性前方脱臼を主体とし、さらに本年度には生検採取術を加えた。術式には後述の新たに開発した器具を追加使用し、また麻酔法は局所浸潤麻酔法と全身麻酔法に関節内の局麻剤灌流麻酔法を追加し検討した。その結果、従来、全麻下施行例においても局麻と灌流麻酔により十分に効果があることが明らかとなった。術式の検討からは盲目操作法が最も簡便で、穿刺時の侵襲が少ないものの、術野の確認,有視下操作という点では不明確であり、また有視下のうち外套管2本使用は操作が繁雑であることから、スーチャンネル外套管使用が、侵襲は多少大きいものの確実であると判断した。これらのことからも、新たな手術用関節鏡,スーチャンネル外套管を利用しうるものの開発が望まれる。 対象疾患である線維癒着症では従来open surgeryの対象となっていたが、本術式により十分に治療効果が得られることが明らかになり、顎関節疾患の治療に新たな手段が開発されたことになる。術前,後の評価としてCT単一造影法はその画像処理によって十分な臨床意ギを得ることが認められた。 2)鏡視下手術器械,特に切離用器具の開発。 基本操作としての切離用には金属メスがあるが、鋭利な切開に開発したルビーメスは有用であるが破折の可能性が認められ慎重を要することが明らかとなった、 また剥離,生検鉗子についてさらに強固な構造のものを試作し好結果を得ている。 特に本目的には機械的な切離法でなく、物理的エネルギーによるもの,すなわちレーザーメス,電気焼灼器等の使用がより有利でありその新たな開発が望まれる。
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