研究分担者 |
中村 篤 昭和大学, 歯学部, 助手 (50175501)
斉藤 健一 昭和大学, 歯学部, 講師 (20119192)
鈴木 規子 昭和大学, 歯学部, 講師 (10112731)
吉田 広 昭和大学, 歯学部, 助教授 (80014330)
大野 康亮 昭和大学, 歯学部, 助教授 (30112725)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1987年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1985年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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研究概要 |
口腔疾患患者における言語障害を動的かつ客観的に分析し診断と治療に役立てることを目的として, 高速度16mm映画(映画), ダイナミックパラトグラフ(DP), サウンドスペクトルグラフ(SG)を同期した構音運動の同期解析法を開発し, その研究方法の妥当性について検討した後, 健常人および舌切除症例の構音時の舌, 口唇, および顎運動を解析した. 新しく開発した研究方法の概要は次の如くである. 映画法の計測基準点を顔面各部に設け口腔内にはDP用人工口蓋を装着して頭部を固定し, 構音時の顔貌を正面と側面から毎秒64駒で映画を撮影し, 同時に同じ速度のDPと音声をカセットテープレコーダーに入力する. その際, 同期信号発生装置によって16mmフィルムには発光ダイオードによる光信号をカセットテープには雑音信号を記録する. 後にSG上に表われるそれぞれの同期信号により映画所見とDPを対比する. 本法によって得られた結果は以下のとおりである. 1)健常成人の/S/音産生中には舌運動, 下顎運動とも変化するが, DPの最大接触時には垂直的に最も中心咬合位に接近し安定した. 2)健常成人の/t/音産生過程においては, DPの最大接触を過ぎてから下顎が最小開口位に達し, 下顎が下方移動を始めた後に舌前方部で声道の開放が認められた. 3)舌癌術後患者において発語明瞭度が最も低い/t/音産生過程においては, 舌のみでは不可能な声道の閉鎖・開放を口唇で代償し, 舌と口唇の両者で/t/音を産生していた. 4)舌癌術後患者において発語明瞭度が最も高い/s/音産生過程においては舌のみでは不十分な狭めを口唇で補い, 残存舌, 口唇, 下顎を微妙に調整して声道を形成しているものと推察された. 5)破裂音は摩擦音よりも代償構音の産生が難しいことが示唆された.
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