研究概要 |
本研究は各種医用セラミックスの骨内における反応性を検討するために, 培養細胞使用実験と動物への埋入実験の2つを柱としている. 1.培養細胞使用実験 (1)材料の細胞に対する馴染みの検討:このために, 材料の"ぬれ性"という概念を採用し, 表面化学で定義している材料表面の水に対する接触角で表わした. そのためO_2,Ar,CF_4などの低温プラズマで培養ディッシュ(ポリスチレン性)を処理し, それぞれ約12°, 30°84°の接触角の試料を得た. (2)培養細胞の材料表面への進展性:細胞の進展は良好で対照資料とほぼ同じであるが, 接触角が大きく, "ぬれ性"の悪い条件では細胞伸展は著しく低下した. 接触角の小さい-すなわち, "ぬれ性"の良い材料の上では, 良好な細胞成育が起こることが明らかであると言える. 2.動物への埋入実験 (1)^<45>Ca標識ヒドロキシアパタイト(HAP)顆粒体の調整と動物填塞:7週齢の雄性ラット下顎骨骨膜下に埋入, 8週後に約100μmの全身凍結切片を得て, オートラジオグラフを作製した. ^<45>CaHAP埋入HAPからのCaが少量ではあるが遊離し, 全身のCa代謝系に入ることが明らかになった. (2)ニホンザルの前歯および臼歯を抜去し, その歯槽窩にHAPを填塞して6ヵ月後の歯槽突起部のコンタクトマイクロラジオグラフでは, 対照としたHAP非填塞の歯槽窩内よりも, 明らかに骨量が増加していることが示され, HAPが骨形性能を有するものと考えてもよい結果を得た. (3)FRS炭素体についても, (2)とほぼ同様の検討をし, それが積極的な骨誘導能があるとする結果は得ていないが, 6ヵ月には表層のラーメン構造内に多数の強い石灰化サイドが生じ, 丁度, 天然菌におけるセメント質様の構造を誘導することが確認できた.
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