研究概要 |
前年度までにラット全脳mRNAを移入後1〜3日のアフリカツメガエル卵母細胞は, セロトニン(5-HT)に対し応答LC1-電流を引き起こすが, 速やかに5-HT応答の脱感作を引き起こすことを報告した. 今年度はこの脱感作機構にプロティンキナーゼC(Cキナーゼ)の関与すること, Cキナーゼは受容体および/またはGTP結合蛋白質をリン酸化し, 5-HT応答を抑制することを二次の実験結果から明らかにした. 1)0.1μM5-HTの誘起するC1-電流は, ホルボールエステル(TPA)0.1, 1μMにより抑制された. 2)50pmoL GTPγS, 50pmolイノシトールーミリン酸(IP3)または, 110pmal Ca^<2+>の細胞内注射により誘起されるC1-電流に対し, 1μM TPAは影響を及ぼさなかった. 3)0.1μM 5-HTを適用後5分の卵母細胞では, 分子量約35〜40Kの蛋白質がリン酸化され, 1μM TPAは10秒間処理すると, 30Kの蛋白質をリン酸化した. 次に, mRNA移入卵母細胞を50mMBa_<2+>を含有する液中におき, 膜電位を-100mVから0mVに脱分極させた時にみられるバリウム電流(IBa)を測定することにより, 電位依存Caチャネル活性を調べ, 以下の結果を得た. 1)mRNA移入後に見出されるIBaは重金属イオン(La>Cd>Ni>Co)により抑制されたが, 10μMテトロドトキシンや10mMテトラエチルアンモニウムでは抑制されなかった. 2)Ca拮抗薬(ベラパミル, ニフェジピン, ジルチアゼム)は部分抑制したが, w-コノトキシンGVIAは強く抑制したので, 発現するCaチャネルはNタイプと推定した. 3)IBaは速く不活化される成分と遅く不活化される成分から成るが, サイクリックAMPは遅く不活化される成分を増強した. 一方30〜100nMホルボールエステル(TPA)はIBaを増強, 1〜3μMは抑制したので, Caチャネル活性はA-キナーゼ, C-キナーゼにより調節されると推定した.
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