研究概要 |
本研究はアリデヒド酸化酵素を構成因子とする新電子伝達系の構成, 性質ならびに電子移動機構につき検討を加えたものであり, 以下その研究成果の概要を示す. 1.アルデヒド酸化酵素はxanthine oxldase,xanthine dehydrogenase,lipoamide dehydrogenase NADPH-cytochrome c reductaseあるいはNADH-cytochrome b5 reductaseのようなフラビン酵素に共役し, 従来例をみない新電子伝達系を構成する. 2.アルデヒド酸化酵素は芳香族ニトロ化合物, N-オキシド, スルホキシド, ニトロソアミン, アゾ化合物などと同様に, ヒドロキサム酸およびオキシムも電子受容体にし得る. 3.各種クロマトグラフィを用いて, モルモット肝ならびに牛眼毛様体から新たにアルデヒド酸化酵素を分離, 精製した. これらの精製酵素はいずれも分子量約300,000(分子量約150,000の二量体)で, 電気泳動上, 単一バンドである. 4.N-Hydroxy-2-acetylaminoflnoreneを始めとするN-アリル脂肪族ヒドロキサム酸は, アルデヒド酸化酵素のN´-methylnicotinamide酸化活性に対して非競争阻害を示し, また, 本酵素の薬物還元活性も阻害する. 5.新電子伝達系のヒドロキサム酸あるいはスルホキシド還元活性は, アリデヒド酸化酵素の電子供与体を添加することによって顕著に増大することを見出し, 新電子伝達系の電子移動機構を更に解明するための重大な手掛かりを得た. 6.FADおよびmethylviologenは新電子伝達系の電子移動を著しく促進するがこれはフラビン類およびバイオロジェン類が電子伝達系を構成するフラビン酵素のelectron carrierとして機能することによるものである.
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