研究概要 |
1)ラット脾培養細胞株RSP-2・P3の産生する好中球前駆細胞増殖因子(NeuGF)の精製とN末端一次構造. NeuGF産生誘導最適条件下で培養した上記細胞の培養液より, 最終的には逆相クロマトグラフィにてNeuGFを精製し, N末端アミノ酸残基配列を22位まで同定した. この配列は他の研究者が遺伝子工学的手法で推定したマウスGM-CSFのN末端配列と全く一致した. 2)マクロファージ前駆細胞増殖因子(MφGF)の精製と一次構造解析. 正常ヒト尿よりMφGFを精製したN末端構造を44倍まで同定し, 他の研究者による遺伝子工学的推定構造と一致した. アミノ酸組成の測定結果から計算すると, このMφGFは2種類のMφGFmRNAのうち大型のものがほん訳された後, 190位前後で切断されるというプロセシングにより産生されたものであることが示唆された. 3)NeuGFとMφGFを分泌するマウス線維肉腫細胞のクローン内多様性 軟寒天中に足場非依存的に単細胞増殖させることにより上記細胞株のサブクローン多数を得た. 分離直後は, サブクローンによって主としてMφGFを分泌するものと, MφGFとNeuGFを種々の比率で分泌するものとに区別できたが, いずれのサブクローンも培養を続けると, 2種類の因子をほぼ同量づつ分泌するように変った. 2種類の因子の分泌に関して観察された個々の細胞の多様性は絶えず揺いでおり, 細胞集団全体として均衡を保つに至るものと思われる. 4)精製したNeuGFおよびMφGFの生物活性. マウス骨髄中のミエロイド系二分化能細胞の存在, マウスに6日間連続投与したときの骨髄中のマクロファージ前駆細胞の増加, マウス復腔常在マクロファージの活性化などを証明した.
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