配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1985年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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研究概要 |
肺循環系は, 肺実質の組織圧あるいは肺血管内圧および化学受容器からの求心性神経を介して体循環系に影響を及ぼし, 又逆に体循環系の血行動態の変化により影響される. これらの両循環系の間の関係は, 肺循環動態および血管透過性に関する研究を遅らせている. そこで私達は, 肺および体循環系を別個に灌流し相互の影響をしらべ, さらに気管支循環系の役割およびそれに対する神経系の影響を検討した. イヌを用いて標本を作製し肺灌流量や左心房圧および体動脈圧や呼気圧の変化による両循環系相互の血行動態への影響をしらべた. 特に注目すべき点は次のような結果である. 高血圧時には, 左房圧が上昇する. この左房圧の上昇は, 気管支循環系から肺循環系への血流増加を阻止する役目をもち, さらに交感神経系がその作用を増強する. このことは, 交感神経系の役割として, 高血圧時の気管支循環系から肺循環系への血流増加を抑制し左心室から拍出される血液の短絡を妨げるものと考えられる. この現象は, 気管支循環系への神経支配によってもたらされた. 次に, 血圧上昇に伴なう病的状態の一例として肺水腫をとりあげ, これが肺支配神によって影響をうけることを示した. さらにラットを用いて神経原性肺水腫として知られているフィブリン肺水腫について検討した. ラットでこの肺水腫が100%の確率で発生できる実験条件を確立した. このモデルを用いて諸種薬物効果を検討した結果, ラジカルのスカベンジャーであるsuperaxide dismutaseとか抗ヒスタミン剤, 抗ACh剤, プロスタグランディンやロイコトリエンの合成阻害剤等では肺水腫を阻止できないことが明らかとなった. 又, キニノーゲンの枯渇剤であるブロメラインも抑制効果がなかった. それに反し, α-ブロッカーやサブスタンスPには抑制効果がみられ, 特にサブスタンスPは, α-ブロッカーよりも強力であり, 肺水腫を抑制する内因性物質として注目に値する.
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