研究概要 |
本研究は, 手術患者の肺機能状態と心理・社会的問題状況を適切に査定した患者個別の呼吸練習プログラムが, 簡便に効率よく作成出来るように肺機能の評価項目・時期・練習項目・時間・患者教育などを内容としたガイドラインを考案し, このガイドラインを手術患者に適用し, その有効性と有用性を検証するものである. 研究の実施は, 先ず拠点5大学病院における全身麻酔による手術患者の呼吸練習の実施状況及び看護婦の関わりを調査すると同時に, 術後肺合併症の発生とその予防に関連する要因の検討を行った. ついで肺機能測定機器(経皮的血液ガスモニター, 電子式スペイロメーター)を用いて術後肺合併症予防を目的としたINCENTIVE SPIROHETRY効果の検討及び術前呼吸練習と術後肺ケアの効果の検討を行い, さらに手術患者の呼吸練習に影響を及ぼす心理・社会的要因の検討を行った. 以上の結果を基に術後肺合併症予防を目的とした個別呼吸練習プログラム作成のためのガイドラインを考案し, 実施手引書を作成した. ガイドラインの構成内容は, 4項目からなる. 1.患者アセスメント, (1)身体的状況の査定(3段階リスク)(2)術前心理的準備状況の査定(在患・手術の受けとめ, 禁煙・練習プログラムの実施状況) 2.呼吸練習プログラムの内容選定, (1)基本プログラム(一般的な術後回復過程の促進に共通する項目)(2)強化プログラム(呼吸練習器具--IDSEP・TRILFOII)の使用, 練習回数の増加, 働きかけの強化) 3.呼吸練習プログラムの実施, (1)プログラム選定と指導の時期, (2)パンフレット・チェックリストの活用 4.呼吸練習プログラムの評価, (1)評価内容(練習の正確さ, 自発性, スパイログラム・血液ガス他の測定による呼吸機能の変化)(2)評価時期. 実施手引書は, 第I部:個別呼吸練習プログラム選定のためのアセスメント(実施要項, プログラム内容選定)と第II部:個別呼吸練習プログラム(内容, 実施要項)である.
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