研究概要 |
1.ガーリック抽出液またはその主要抗菌因子であるDiallyldisulfideの培養基濃度は大腸菌振盪培養時の誘導期の対数と比例した. またガーリックと乳酸または酢酸が共存すると, 相乗的に増殖を阻害した. 2.粉ワサビ, カラシ粉とブラウンマスタード中のAllylisothiocyanateのHPLCによる定量法を検討した. その結果, それぞれ1g当り6.0, 9.5および9.0mg程度であった. これらはいずれも培養基中濃度に応じて数種細菌の誘導期を延長したが, 定常期の菌数に対する影響は細菌の種類によって違った. 3.ワサビまたはマスタード抽出液と, グリセリン・グリシン・乳酸もしくは酢酸のうちの1つと, 食塩の3者の同時添加による細菌増殖阻害に対する相乗効果を検討していくつかの有効な組合せを見出した. 4.シナモンの主要成分であるCinnamic aldehydeをHPLCで定量し, 1g当り35〜40mgの結果を得た. このものより, これを同量含むシナモン抽出液の方が細菌増殖阻害効果は大きかった. 5.クローブ, タイム, 月桂樹および黒コショウの汚染菌を滅菌してから鶏ガラスープに各0.05%加えるとスープ中の細菌増殖を抑制した. これらの香辛料はスープ中の方がブイヨン培地中より抗菌力は弱かった. 6.消化酵素に対する影響を調べるため, トウガラシ・サンショウ・カラシ・ニンニク・西洋ワサビ・ショウガについてスクリーニングテストを行なった. その結果, トウガラシ種子中に強力なトリプシン・α-キモトリプシン阻害作用を有する物質を見出した. それらは硫安塩析およびゲル濾過クロマトにより3つの成分に分けることができた. いずれの成分も酸性下では優れた熱耐性を有した. また, ペプシンによる消化を受けても, トリプシンおよびα-キモトリプシンに対する阻害活性は完全に消失しなかった.
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