研究課題/領域番号 |
60480507
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分子遺伝学・分子生理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢野 雅文 東大, 薬学部, 助手 (80119635)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1986年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1985年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | 筋収縮 / クロスブリッジ / アクチン / ミオシン / 急速凍結 |
研究概要 |
収縮のメカニズムを知る上で実際収縮している筋肉の動的な構造を調べることは重要である。従来、電子顕微鏡による構造の研究はその試料作製の制限により、動的な構造の研究には適さないと考えられてきた。我々は本研究において、液体ヘリウムを用いる急速凍結法を改良することにより、電子けんびきょうによる筋肉の収縮中の動的構造の瞬間像を得ることに初めて成功した。液体ヘリウム温度に冷やした銅ブロックに筋肉を圧着すると、200マイクロ秒より短い時間分解能で筋肉は凍結する。圧着面から約10マイクロメートル程度は無氷晶で構造は良く保たれる。すなわち水が結晶を作ることなく凍結されることにより、タンパク質の動きも瞬間的に止まる。動的構造を議論するには生理学的知見、即ち張力や筋長を同時に測定しながら、どういう状態に対応する構造であるかを調べることが不可欠出ある。これらの条件下で電子顕微鏡像を詳しく解析することにより次のことが分かった。 1)収縮中のクロスブリッジの構造は弛緩状態,硬直状態のいずれとも異なる。 2)筋長が変化しない等尺性収縮でも、筋長が変化する等張性収縮でも、同じ構造を取る。 3)収縮中のクロスブリッジはミオシンフィラメントからほぼ直角にアクチンフィラメント上でミオシンの構造周期を保つ規則正しい構造をしている。 4)ミオシン頭部はアクチンフィラメントの側面で相互作用をし、アクチンフィラメントを隣合うクロスブリッジが挟む構造を取る。 この様に収縮中のミオシンは以前考えられていたような回転運動はしないので、ミオシンとアクチンの相互の位置関係が重要になる。このために、新しい収縮モデルが作られる必要となった。我々は以上の研究の結果からミクロなコンデンサーからなる静電リニアモータ説を提出し、筋収縮の様ざまな現象を説明できることを示した。特にエナジェチクスを定量的に説明できるのが特徴である。
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