研究概要 |
1-(1)カブトガニの各種組織からトロポミオシンを調製し, その組織特異性をしらべた. その結果, このトロポミオシンのアイソフォームは少なくとも4種, おそらく6種あって, 調べたどの組織にも同様に存在していることが判った. 1-(2)この骨格筋のトロポミオシンに対する抗血清を用いて, 他の組織由来の試料と反応させた結果, との組織から調製した試料も全く同様に反応した. 2-(1)アメリカザリガニの骨格筋からトロポミオシンを調製し, この動物やイシダタミヤドカリ, ベニツケガニの各種組織から2次元電気泳動法により分離したトロポミオシンと, 上記抗血清との反応を試みた. 2-(2)これらの甲殻類においては, 骨格筋, 心臓, 中腸腺の間で分子量の異なるトロポミオシンがみつけられたばかりでなく, 同じ骨格筋の中でもアメリカザリガニのハサミと腹部筋肉の間にも異なるアイソフォムが検出された. しかし, ベニツケガニのはさみの屈筋と伸筋の間では異なってみえるアイソフォームパターンが他の動物の相当する筋肉では差異がみられなかった. 3-(1)二枚貝のホタテ貝, ヒオウギ, チョウセンハマグリ, ミルガイ, バカガイの閉殻筋・心筋のトロポミオシンアイソフォームを調べた. 3-(2)二枚貝には横紋筋タイプが1種, 平滑筋タイプが2種検出され, 心筋には平滑筋タイプのうちの1種がみつけられた. 4.無脊椎動物の中の1つの門をとりあげただけでも, トロポミオシンのアイソフォームパターンに多様性がみられるので, 無脊椎動物一般について統一的特徴をつかむことは出来なかった. しかし各門の中で更に詳しく調べ, 多様性の中にも何からの統一性をみつけるべきであった.
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