研究分担者 |
土田 暎子 信州大学, 工学部, 教務員
三谷 道治 信州大学, 工学部, 助教授 (20021016)
小山 菊彦 信州大学, 工学部, 教授 (40029012)
土田 瑛子 信州大学, 工学部, 教務職員
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研究概要 |
ナイトレニウムイオン中間体は発がん剤の生理活性種となるのみならず, 有機合成に対する有用な中間体として, 最近興味が持たれてきた. トリフルオロ酢酸(TFA), トリフルオロメタンスルホン酸, または塩化アルミニウムの存在下, アリールアジドを室温で分解させるとアリールナイトレニウムイオンまたはアリールナイトレニウムー塩化アルミニウム錯体が中間体として生じることを, 反応機構論的研究により明らかにした. これらの中間体を芳香族化合物やオレフィンと反応させると, ジアリールアミン誘導体やアジリジニウムイオンの開環生成物を得た. また, フェニルナイトレニウムイオンとアルキルスルフィドとの反応ではアルキルチオアニリン類の新合成法となった. アリールナイトレニウムー塩化アルミニウム錯体の分子内芳香族置換反応では, カルバゾール類やジヒドロアクリジンが高收率で得られた. アジドの代りにN-フェニルアミノピリジニウム塩を用いた熱分解でもフェニルナイトレニウムイオンが発生することを見い出した. N-アミノならびにアルキルアミノピリジニウム塩のTFA存在下での光分解で, 親ナイトレニウムイオンならびにアルキルナイトレニウムイオンが生じ, これらによる芳香族化合物の一段階アミノ化反応が初めて逐成できた. 上記のピリジニウム塩以外にも, S-アミノスルホニウム塩を用いても, 同様に親ナイトレニウムイオンが発生した. β-アジドスチレンと各種のハロゲン化酢酸(TFA, ジフルオロ酢酸, トリクロロ酢酸, ジクロロ酢酸, およびクロロ酢酸)との反応で, ビニルナイトレニウムイン中間体が発生することを反応機構論研究により明らかにした. この反応では, ハロゲン原子を含む新規の化合物である4-フェニルー5-ハロメチルイソオキサゾール誘導体が得られた.
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