配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1987年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1985年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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研究概要 |
三年間, 「ゲルセンサーに関する基礎研究」に対して補助金をお認めいただき, 関係諸氏に謝意を表したいと存じます. お陰さまで, ゲル科学の発展のため大いに貢献できたものと確信いたしております. 三年間の成果の概要は, 1)膨潤・収縮機能を持った種々の高分子電解質ゲルの分子設計を確立した. 2)溶媒組成によって誘起される高分子電解質ゲルの体積相転移現象についての一般的描像を明らかにした. 3)温度によって誘起される高分子電解質ゲルの体積相転移現象について検証し, 三つのタイプの相図に分類されることを明らかにした. a)膨潤-不連続体積変化-収縮, b)収縮-不連続体積変化-膨潤, c)収縮-不連続体積変化-膨潤-不連続体積変化-収縮. 4)高分子鎖にスピンラベルしたゲルを作ることに成功した. その結果, 高分子鎖の分子運動を指標とした分子レベルの体積相転移現象の研究の道を拓いた. 5)ミクロ相分離構造を持つ高分子電解質ゲルと金属イオン(Cu^<++>)との結合様式をESR法より調べた. その結果, カルホキシル基からなるクラスターと銅イオンとの間の協同的キレート結合の存在を明らかにした. 6)両性電解質ゲルの体積相転移現象について調べた. その結果, 両性ゲル特有の, 膨潤-収縮機構を明らかにした. 以上, 高分子電解質ゲルの種々の物理化学的条件によって引き起こされる体積相転移現象の基礎を築き, ゲルセンター開発への足がかりを拓いた. 一方, この期間中に, ゲル科学に関連する特別講演会(2回)及び, 日本化学会地区講演会(1回)を開催し, 又, 高分子学会中に「高分子ゲル研究会」を設立し(61年), ゲル科学の発展啓蒙, 普及に寄与した. なお, ゲル科学の学術的業績が認められ, 片山は日本薬学会佐藤記念国際賞(61年), 田中は, 仁科賞(61年), 高分子学会賞(62年)を受賞した.
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