研究概要 |
1.ラーフラ・サーンクリティヤーヤナ師がチベットのシャル僧院から請来した『中観心論頌』のサンスクリット筆写本第九章・第十章をG.ツッチ博士提供の貝葉写真版と照合を行ない, サンスクリット・テキストの厳密な校訂版を作成した. 2.『中観心論』および注釈『思択炎』の第九章・第十章のチベット語訳ナルタン版・デルゲ版・北京版の各版照合と校訂版の作成を行なった. 3.以上のサンスクリット校訂テキストおよびチベット語訳校訂テキストにもとづき, 第九章・第十章の和訳を完成させた. 4.『中観心論』および注釈『思択炎』の第九章・第十章を中心に他章にわたってサンスクリット重要語句の語彙蒐集を行ない, これらをチベット語訳と対照させて, コムピュータによる分析研究を進めている. 5.以上の作業を通じて, 『中観心論』および『思択炎』のテキストの特質分析, 成立過程の分析を行ない, 学界にその成果を問うた. 6.以上の作業にもとづき, バヴィヤの「一切智」思想を中心に分析を行ない, その成果を『印度学仏教学研究』・『筑波大学哲学・思想論集』・『仏教学』等に発表して他の研究者の批判・意見交換を行なった他に, 63年夏に開催される「国際バヴィヤ研究学会」において「所知障と一切智」と題して発表を行ない, 内外の学者との交流・意見交換・批判を受ける機会とする予定である.
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