研究課題/領域番号 |
60510053
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
片桐 和雄 金沢大, 教育学部, 助教授 (00004119)
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研究分担者 |
石川 克巳 国立療養所医王病院, 小児科, 医長
ISHIKAWA Katsumi Department of Pediatrics, National Io Hospital
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1985年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 重症心身障害児 / 聴性脳幹反応 / phasic HR反応 / tonic HR反応 |
研究概要 |
本研究は、行動水準では反応を観察することが困難な重症心身障害児の聴性反応を、生理心理学的方法によって多水準的,総合的に把握することを目的にした。ふたつの具体的検討課題と得られた主な知見は以下の通りである。 1.聴性脳幹反応(ABR)などによる聴覚系の基礎的機能状態の評価 (1)重障児のABR評価にあたっては、V波出現閾値をふまえた上での潜時評価が必要となり、それを可能にするために正常耳データも得て新たな強度レベルにもとづく評価尺度を作成した。(2)重障児85人の測定の結果、27%に30αB以上の閾値上昇がみられたが、高度難聴は10%であった。また、脳幹機能障害は30%にみられ、V波消失という重篤なものが2例検出された。(3)中間潜時反応(MLR),頭頂部緩反応(SVR)はABRにくらべ、評価指標としての意義は低かったが、脳幹障害例で両反応の陰性や潜時延長傾向がみられた。 2.環境条件に対する覚醒時聴性反応の発達的特徴 (1)日常的各種場面における環境条件(聴覚刺激)と遠隔測定による生理学的指標の連続的同時記録・分析システムによって、tonic,phasic両側面からの客観的反応動態の把握が可能になった。(2)各種刺激に対するphasicな変化として、HRの加速反応優勢から次第に減速反応の増加へと転じる発達的変動が、2年間の縦断的観察などによって確認された。(3)phasic反応がみられない特に重症な者でも、刺激作用の多い指導場面などで、HRのbpm値の上昇と変動幅の増大というtonic反応が認められた。(4)しかし、重篤な脳幹障害例ではほとんど反応がみられず、療育上の困難さが予想される。 以上の諸知見は、重障児の療育活動を進める上で有効な情報となった。また、今後の課題としては、上記2の(2)、(3)と関連して、環境条件に対する定位的反応の「発生的」研究を進める必要があると考えられる。
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