研究概要 |
本研究の目的は、技の形成過程に及ぼす知識と意識との関係を認知心理学的に明らかにすることである。 研究成果は理論的検討と実験的検討の双方からなる。 まず理論篇として、1.何故にいま技かで,(1)認識と行動,(2)認知係と行動系の関係を、2.技の構造,(1)技とは,(2)構造,(3)組み込みの構造について、3.技の形成過程では、(1)型の形成,(2)自動化と意識,(3)勘、についてそれぞれ理論的に検討した。 これに対して実証篇では、1序論,(1)構造,(2)運用,(3)課題特性,の後、2.技の構造では、アーチェリー行射,古武道武,剣道それぞれのもつ構造をスクリプト手法でとり出した。3.意識と自動化では、それぞれのスクリプト項目を実際に行うさい、どの程度意識しているか,集中しているか,自動的に行なっているか,等を評定させた。4.構造と意識では、自分が意識している項目と実際に行なっている項目との範囲を記述させた。さらに5..技の構造と自己評価では、実際に技を行なったさい自からその出来具合を評価する自己評価とそれを他者が評価する他者評価とを比較した。その結果、評価の基準が重要であり、一般には相対的な基準が用いられることが明らかにされた。 最後に総合論義では、資料情報と作用スキーマの関係,意識一行為範囲,あるいは評価の基準を論考した。
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