研究概要 |
飼育場面そのものが実験箱となるKGbox-24を2台用いて、予測可能電撃と予測不可能電撃がラットの長期適応行動に与える影響について検討した。実験は合計3つ行なわれ、それぞれにおいて2匹を1対とし、一方を予測可能電撃に、他方を予側不可能電撃にさらした。測定はKGbox-24内での摂食,摂水行動,水平方向への移動行動,立ち上がり行動が1分毎に昼夜をわかたずなされた。毎日15分間(11:45-12:00)ラットはKGboxから取り出され体重が測定されたが、実験2,3に関して飼育舎統制群がもうけられ、毎日この同じ時期に体重が測定された。実験はベースライン期(実験1では8日間,実験2,3では10日間)とストレス期(実験1では16日間,実験2,3では20日間)にわかれた。ベースライン期では電撃は一切与えられず、ストレス期では2台のKGboxのラットは、平均間隔6分で逃避不可能なグリッド電撃を昼夜をわかたず受けた。電撃の長さは実験1では0.3秒,2,3では1→1,5→2秒と徐々に長くされた。各対のラットの一方では、電撃は必ず1分間の信号(音)によって先行され、他方では信号は電撃とは独立に与えられた。 実験2,3においては飼育舎統制群のラットにくらべてKGboxで電撃を受けたラットはストレス期に著しい体重の減少を示した。しかし3つの実験すべてに共通して、予測可能電撃を受けたラットの方が、予測不可能電撃を受けたラットにくらべて体重の相対減少量が著るしかった。この事実は長期連続実験の場合には、短期実験の場合とは逆に、予測可能電撃の方が予測不可能電撃よりもストレス性が高いことを意味しており、これは最近Abbott(1984)によって示唆されたことを、はじめて組織的な実験事実によって裏づけたことになる。その他の行動の詳細な分析は研究成果報告書にまとめられているので参考にされたい。なお当初予定した電撃の統制可能性/不可能性の効果に関する実験は実施できなかった。
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