研究課題/領域番号 |
60510116
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 章宏 東大, 教育学部, 教授 (40017132)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1985年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 授業体験 / 授業体験による変化 / 生きられた授業時間・空間 |
研究概要 |
本研究では、授業を授業者として自ら行なう体験-「授業者体験」-により、授業者に起る変化、しかも、それによらなければ起らない変化、は何かを明らかにすることを試みた。この目的のために、十数名の学部学生が、数ケ月の準備期間を経て、小学校で自ら授業を行なう体験を研究対象とした。予め用意した「問い」に沿って、各体験者と、授業体験の前後二回にわたり、研究者である私が面談を行ない、その面談内容を逐語的に忠実に文字化したもの-「逐語版」体験報告-を基礎資料とした。「逐語版」体験報告から、その体験内容が第三者にも読みとれるよう、内容を濃縮した「濃縮版」体験報告を作成した。授業前と後の報告では、変化が見られるが、それには、各体験者により、多様な差異が見られた。深い変化においては、体験者の「生きられる世界」全体にかかる変化-たとえば、「自分というもの」「子どもというもの」、「生きられる時間と空間」、「自らの進路」、「見えるということ」などとかかわる相互に関連しつつ起る広範な変化-が見られた。浅い変化においては、授業前からの自信を強めたものもある。授業体験者の世界においていかなる変化が見られるかについてのささやかな解明を試みた。授業者体験による変化は、何よりもまず、「新らたな自分の発見」であり、自分自身とのかかわりを通じての「子どもの発見」であり、自ら体験することによって初めて発見される「授業時間と時間」の発見、などであった。「濃縮版」体験記録の構造と意味の現象学的解明は、現段階では、未だ不十分であり、今後さらに深めていかなくてはならない。本研究は、その基礎資料づくりと、いくつかの可能な解明の試みに留まるが、それなりに、積極的意味を見出すことができたと考える。
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