研究概要 |
1 研究課題に直接的にかかわる、「制度上の成立過程」の考察にあたっては、さしあたりフランスのばあいをとりあげて、そこにおける中等レベルの女子学校法制化の進展経緯を、あきらかにしようとした。まずは、女子のためのネイション・ワイドなはじめてのこころみたる、1867年の「中等講座」以前の、女子中等教育の全般的情況について、これを、(1)修道女の指導になる(寄宿制の)女子学校,(2)世俗婦人の経営する女子教育舍,(3)通学制の「講座」の、三種に区分して予備的考察をおこない、ひきつづき、1880年の「女子中等教育法」にいたるまでの、関係諸法令の邦訳にとりくんだ(目下、訳文の推敲を続行中であり、ちかい将来、印刷に付する予定)。 2 他方、代表的な女子学校の創設・発展にかかわる、ケース・スタディについては、さしあたり合衆国を舞台に、中等レベルの女子教育機関ではなくて、むしろ高等レベルのそれを、事例としてとりあげることとし、まず、1887-88年という時点における女子カレッジ・女子大学(および,共学のカレッジ・大学)の一覧表を作成した。そして、それらのなかから、その後セブン・シスターズなどと総称されるにいたる、東部諸州の有力な女子高等教育機関の数校や、南部・中西部等における、伝統ある著名な女子高等教育機関(または、共学のそれ)を選定し、それら学校史の相互比較的検討を通じて、合衆国に特徴的な女子高等教育の発展形態を析出する作業に従事した(この成果については、いまだ、とりまとめるにいたっていない)。 3 今後の研究の展開としては、女子中等教育の法制化過程についてはドイツを、代表的な女子学校の創設・発展にかかわるケース・スタディについてはイギリスを、それぞれとりあげ、それらを、前者はフランスのばあい、後者は合衆国のばあいと、比較しつつ、さらに考察をすすめてゆく方向へ、もってゆきたいとかんがえている。
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