研究概要 |
現職教員の研修に関する意識調査結果で特徴的なことは、次の諸点である。第一に、現職研修の機会としては校内研修への要求が高いが、実際にその条件は十分に整備されているとはいえず、行政研修への参加が多い。第二に、各種の研修機会への参加による効果,満足度については、日常的な教科指導に関する研修がいずれの場合にも高く、学級経営や一般的な教養については必ずしも要求が高くはない。第三に、研修に関する行政施策については、研究指定校や校内研究グループへの援助をする施策は必ずしも要求が高くなく研修定員や予算措置などの基礎的な条件整備についての施策への要求が高い。 次に、校内研修の事例研究については、対象とした小規模校で効果的な研修体制を確立している事例で特徴的なことは、次のことである。(1)子どもの学力,体力,生活リズムなどについての教育調査および父母の教育要求調査にもとづいて教育方針をたて、(2)日常の教育実践の自由な交流と相互批判を行なっていること、(3)父母・住民の参加による子育て懇談会が、教職員の研修の機会となって実践に緊張を持続していること、である。また、対象とした大規模の養護学校での研修体制で特徴的なことは、(1)極めて組織的,集団的な校内での研修体制を確立していること、(2)障害児の発達についての理論と実践の結合を常に意識し、発達理論の創造的発展を探求してきたこと、(3)年間の教育活動を自ら点検し、実践の質を高める研究的とりくみを継続している、ということがある。 現職研修の文献検索の結果、戦後日本の研修,養成に関する文献はかなり確認することができたが、欧米での研修についての文献の検索はまだ系統的でない点があり、今後の課題として残していることがある。
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