研究課題/領域番号 |
60510130
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
永田 栄一 島根大, 教育学部, 教授 (60032645)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1985年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 遊び / わらべうた / 伝承 / 創造 / 地域 / 教育 |
研究概要 |
1.伝承遊びの調査は古老からのものに傾き、その懐古的尺度で、子どもの遊びの衰退が言われる。また、遊びの空間・時間・仲間の減少はすべて大人の責任であるのに、その結果現われる子どもの心身のひずみだけが強調される。本研究は、現代の子どもたちが大人の支配の外で伝え合う伝承遊びの生命力に注目し、子どもの発達に関わる遊びの今日的意義を考える。 2.北海道から沖縄まで訪れた市町村数は63、接した子どもの集団は115、遊びへの共感を通しての調査であるので、子どもたちは喜々として遊びを展開した。遊びの調査数は191種961例である(同テーマで行った昭和59年度の研究を含む)。それらの遊びはテープ録音あるいはビデオ録画をして、調査カードを作成し、分類・分析・考察を行った。 3.現代は、野山の遊びやお手玉・まりつきといった遊びは衰退の傾向にある。しかし、幼い子も勝つことのできるじゃんけんを利用した遊び、はだを触れ合う手遊び、体の上下動のリズムをもつなわとび、2本のゴムを足で複雑にあやつるゴムとびの技とうた、工夫と創造の余地の多い鬼遊びなどは、かつての記録以上に多種のものが、全国的に多くの変化形を作って伝承されていることが明らかになった。また、多くの遊びの自然発生的な表現に、伝統的なわらべうたの音階が根強く生きていることが明らかになった。 4.子どもたちは、遊びの中で人間らしく生きる力を学び、また、それを要求しているのである。私たちは、遊びを短絡的に教育の材料にするのではなく、まず現代に生きる伝承遊びに対する正しい理解と共感から始め、地域においても、教育の場においても、遊びの集団が成立しやすいように配虜していくことが緊急な課題であろう。なお、本研究での調査資料はさらに詳細に分析し、本研究以前の調査とも伴せて、約1万例の伝承遊びの資料集成を完成させたい。
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