幕末から明治20年代までの時期に発生した国際海難事件と外交交渉について、前年度に引き続いて調査、研究を進めた。その実績は以下のようである 日本政府関係機関係文書の調査 1.外務省外交史料館関係史料 (1)明治4年、長崎港における英国人引受汽船と日本船夕顔丸の衝突事件 (2)明治5年、大阪運上所における西京物産引立会社汽船元享丸へ英国汽船九所丸衝突事件 (3)明治5年、周防海における仏国軍艦コスマオ号と鳥取県傭風帆船、泰徳丸の衝突事件 (4)明治5年、横浜港における帝国軍艦雲揚号へ英国風帆船フランシスヘレデー号の衝突事件 (5)明治10年、横浜港における英国軍艦ヲウダシウス号と三菱会社所有汽船千里丸の衝突事件 2.高等海難審判庁関係史料 (1)明治25年、英国汽船ラベンナ号による帝国軍艦千島沈没事件にかかる水先人、北野由兵衛審問関係文書 (2)明治20年、英国汽船チベット号の海難にかかる水先人、小田善三郎審問関係文書 各事件についての個別的な調査、研究ならびに総合的研究 上記の各事件のうち、主要なものについては、別記のように論文を発表ないし発表予定である。残りの事件についても近く研究を集約し、総合的考察をまとめる予定である。
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