研究課題/領域番号 |
60510227
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国文学
|
研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
岡本 勝 愛教大, 教育学部, 教授 (90024059)
|
研究期間 (年度) |
1986 – 1987
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 伊勢風 / 神風館 / 伊勢俳書 / 富田無三 / 美濃派 / 田舎蕉門 / 落葉川 / 尾濃吟行 |
研究概要 |
伊勢は近世初期以来俳諧の盛んな土地で、幕末に至るまでに多くの俳書が刊行された。しかし、従来の俳諧研究は京・大阪・江戸を中心とするもので、伊勢風・神風館などの名称とともに伊勢俳壇の重要性は言われながら、今日まで充分な研究がなされてこなかった。そのため伊勢俳書も散逸したものが多く、すでに書名が残っているに過ぎないものもある。また、公共図書館などで伊勢俳書のコレクションを持つところもない。伊勢俳諧史の研究には、まず伊勢俳書の収集と整理が必要であるとの思いから、二年にわたる「伊勢俳書年表の作成」という本研究を続けてきたのであるが、その所在が各地に点在し、点数も多いところから、現存の約半数程度しか調査が出来なかった。伊勢俳書は地方で出版されたものも多数存在し、珍しいものも少なくないので、報告書としては単なる俳書年表の形にはせず、俳書を年代順に配列し、一点一点に簡単な解説を付した。俳書の一部を写真で紹介したのも、伝本の稀なものが多いからである。この報告書は、決して充分なものではないが、これを更に充実させることによって、伊勢俳壇の本格的な研究へと発展させていきたいと考えている。なお、この調査中に、桑名郡多度町にある芭蕉句碑を建立した富田無三の子孫を見出すことが出来、そこに蔵されていた無三資料を調査することが出来た。無三は桑名領の楠村の大庄屋で美濃派の俳人であるが、田舎蕉門と言われた美濃派はこうした人々によって支えられていたのである。芭蕉句碑建立記念集『落葉川』を編集したこと以外ほとんど不明であった無三を、富田家の資料によってかなり明らかにすることが出来たので、報告書の他に「『落葉川』と富田無三」という論文を発表した。また、無三自筆の『尾濃吟行』は、美濃派の五筑坊・以哉坊などとの関わりという点で重要だと思われるので、報告書の後に翻刻して収めた。
|