1.本研究は、(1)70年代後半以降の「司法審査制論争 の検討、(2)アメリカ司法審査制の歴史的性格と構造の分析、(3)戦後アメリカ憲法理論諸潮流の特徴と相互の対抗関係の明確化、(3)アメリカ憲法理論主流をなすリベラリズム憲法論への批判的分析をおこなう「批判法学 潮流の理論的特徴の分析、(4)以上を通じて、わが国のアメリカ憲法研究の視点の見直しを課題とする。 2.60年度では「司法審査制論争 の分析を手がかりに、戦後アメリカ司法審査制の歴史的性格と構造の分析を主眼とし、これにもとづいて、戦後アメリカ憲法理論諸潮流の基本的位置づけをおこなった。61年度では、まず、アメリカ憲法理論の主流をなすリベラリズム憲法理論の特徴の分析と、これに対する原理的批判をおこなうマーク・タシュネット等の「批判的法学 潮流の分析をおこなった。これは現在なお継続中であるが、これまでの私のアメリカ憲法研究をふくめて、「アメリカ司法審査制と憲法理論 (仮題-日本評論社)としてまとめる予定で、その主要部分の執筆を62年度中に完了するべく、作業をすすめている。63年度中に出版する予定である。 3.なお、政治学分野からもアメリカ憲法理論の検討が進行しているので、これについての分析もおこなった。 4.また、アメリカ憲法理論に多くを学んできたわが国の憲法訴訟理論への批判的分析も同時に追求してきたが、これは別途、あらためてまとめる予定になっている。
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