いわゆる徳島事件再審公判の経結を受けて、いわゆる梅田事件の再審公判傍聴を中心に、再審公判手続の実情と理論状況について整理、分析を行った。その成果を整理すると次のようにまとめることができる。 1.再審公判手続に起訴状一本主義(予断排除の原則)の適用がないということに異論はない。 2.再審請求手続と再審公判手続の両方を同一の裁判所が担当することが認められている。また、同一の裁判所が担当しない場合でも、再審公判を担当する裁判所は、公判開始前に記録を見ることができるようになっている。 3.とすれば、事態は、証拠状態という点からも破棄差戻後の手続に類似しており、全く新たな手続といった位置づけは観念的な理解ということにならざるをえない。それは、公判更新手続を準用するとする場合の証拠状態とも明らかに異なっている。 4.それゆえに、再審公判には、再審開始決定の基礎になった全ての証拠が最初から提出されるようにする必要がある。その具体的な方法としては、次のようなことが考えられる。(1)相手方申請の証拠に対する同意を義務的なものにする。(2)再審請求人提出の証拠は、全て刑訴法328条の弾劾証拠として採用する。(3)再審開始決定に破棄差戻判決と同様の拘束力を認める。(4)審査ということでなく、公判更新手続を準用するとした場合でも、確定審の公判手続を更新するということではなく、再審請求手続における審理をも更新するということにするのであれば問題はない。
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