研究概要 |
本研究の目的は逐次検定の手法を一般の二標本問題に適用する時Pair Wiseなサンプリングを仮定せず平均の小さな母集団からのサンプリングを出来る限り少くする適応的なサンプリングの発見及統計学的性質の吟味である。正規性の仮定下でArmitageのくり返し有意検定で用いられた境界をもちい、(1)分散既知の場合(2)分散未知の場合(3)分散既知の回帰モデル(4)分散未知の回帰モデルについてHayre(1979,Biometrika)のサンプリングルールを適用してみた。(1)についてはSiegmund(1985,Springer)で行われているが(2)〜(4)は新しい試みである。(1)(3)についてはブラウン運動による近似及び極限定理にもとずく過設確率及び期待標本数の理論値はモンテカルロ法に基づく数値に近く実用的にも問題がない。しかしながら(2)(4)についてはSiegmund(1977,Biometrika)の方法が有効と思えるがいくつかの技術的問題をまだ残している。一方逐次検定後の推定問題も十分興味深く、本研究ではSiegmund(1978,Biometrika)とは全く別の方法を考察した。準備として昨年度は一標本問題において、分散が既知の場合について主に研究し、その結果は第一論文"Asymstotic expghsion of…"にまとめられ近日中に出版される。アダプティブなサンプリングルール下の二標本問題のもとでは上でも述べた様にブラウン運動による近似が当初の予定を上まわる程よく、第二論文"Some thoughts…"では主にブラウン運動による近似を用い本研究での方法とSiegmund(1)方法との比較を行った。全体的にはSiegmundの推定値の方が真の値に近いが区間推定の区間の巾は本研究の結果の方が狭くなっている。本研究はこれで一応終るが、将来の課題として分散未知の時の上記推定問題及び回帰モデルに於いてRobbins-Monro(1951,AMS)の確立近似法の導入がある。
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