研究課題/領域番号 |
60530015
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済統計学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
前川 功一 広島大, 経済学部, 教授 (20033748)
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研究分担者 |
谷口 正信 広島大学, 理学部, 助教授 (00116625)
藤越 康祝 広島大学, 理学部, 教授 (40033849)
北岡 孝義 広島大学, 経済学部, 助教授 (60116572)
岡本 雅典 広島大学, 経済学部, 教授 (20034530)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1986年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1985年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | Time Series Analysis / Asymptotic Expansion / ARMA Process / Causality Test / Maximum Likelihood Estimator |
研究概要 |
この研究の成果は、次の3つに分類することができる。 〔第一〕のものは、時系列解析における推定量、検定統計量、および予測量の分布の漸近展開に関するものである。時系列回帰モデルにおいては、誤差項の生成過程の違いが推定効率に影響することが知られているが、本研究の中からこの点に関して高次の漸近展開による結果が、前川,谷口によっていくつか得られた。また時系列AR(p)モデルの予測量に関しては、前川は代表的な予測量は2次の項まで分布の漸近展開が等しくなることを示した。谷口はGaussian ARMAモデルにおける最尤推定量(MLE)の3次漸近有効性の理論を展開した。その中で、クラスDに制限すればMLEを修正したものは3次漸近有効であることが示された。さらに谷口は、漸近的十分性、漸近的アンシラリ(補助)統計量の理論を時系列解析に導入することに成功し、2〜3の成果をあげた。 〔第二〕のものは経済時系列の実証分析に関するものである。岡本は、Simsの非因果性の概念を拡張するとともに、多変量時系列の場合のノイズ寄与率RPCに相当する統計量MRPCを堤示した。他方、北岡はシミュレーションによって因果性に関する5つの検定法の比較を行なった。その結果RPCが最も頑健性が高いことが明らかにされた。また北岡はGewekeの因果性検定に対するMcCallumの比判の論点の誤りを指摘し、2〜3の点に留意すればGewekeの検定は依然有効であることを示した。 〔第三〕のものは、漸近展開の基礎に係わる藤越の一連の研究である。それは時系列を直接研究の対象とはしていないが、時系列における漸近展開の基礎ともなりうるものである。たとえば藤越の漸近展開の近似誤差の評価に関する2〜3の研究がそうである。最後に数理統計と経済統の研究者によって研究が組織されたことによって、両分野の意見交換の過程から興味あるいくつかの研究テーマが堀り起こされたことの意義は深いことを指摘して、締めくくりたい。
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