研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き7〜8月に新潟県及び岐阜県での基礎データの調査収集を行うとともに、並行して長野県小諸市での当局へのヒヤリング調査を中心とした現地実態調査を行った(8月上旬)。この間、研究会形式によって、税配分原則論,地方税各個別税目についての問題点,地方財政調整制度のあり方を中心に検討を進めてきた。そのなかで明らかになった点として次の点が指摘できる。(1)普遍性,安定性,応益性等の従来の硬直化した地方税原則のとらえ方を地方収入原則と広くとらえ直すことにより、地方財源多様化の根拠として位置づけ直すこと。(2)最近の経済のソフト化の急進展に対応して地方税における消費課税の評価が必要であること。(3)現地実態調査結果をみると、昭和60,61年度における国庫補助金削減の影響が大きく、地方財政の赤字化に拍車をかけているが、国と地方の財政関係からみた宿願の補助金整理につながるプラス面のインパクトも正しくおさえる必要があること。(4)地方における法人関係税(事業税,住民税)の落ち込みが激しく、テクノポリス化促進効果を減殺しているが、本社の立地する大都市に有利な従業員割という法人関係税の配分基準の見直しも迫られている。(5)地方財政調整制度については、従来地方交付税はネガティブに評価されがちだが、各国比較をふまえてみると、交付税制度の精緻さや客観性はシステムとしてはむしろ評価すべき点が多く、複税体系での地方税源の拡充を図りながら、均等化機能を主として財政調整制度として再構築すべきではないか、といった点があげられた。
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