研究概要 |
爆発を引き金とする銀河形成及び宇宙の大規模構造形成の数値シミュレーションを行った。 1.初代の天体の質量と時期を指定した後、世代が上がるにつれ質量がどのように増幅されていくかを明らかにした。その結果得られる銀河分布を(a)2体相関関数,(b)パーコレーション解析,(c)最近傍銀河の分布関数の3つの方法で調べた。こうして銀河分布の次元,形,速度分散とみかけの歪みなどを求めた。これらを観測されている銀河団分布と比較した。これらの結果は、現在論文にとりまとめ中である。 2.この銀河形成に伴う期間に放出される輻射とその観測可能性、銀河間物質のイオン化,加熱過程、若い銀河によるクエーサー光の吸収線の深さと幅などを計算した。特にライマンα光の明るさ分布,赤外線背景輻射の強度と一様性、一様銀河間ガスの湿度,イオン化状態,銀河円盤による吸収に伴うクエーサー光の幅の広いライマンαの吸収線の頻度分布等を詳しく求めた。これらは、スペーステレスコープによる紫外光での観測、大型赤外光学望遠鏡による、特に赤外線での観測プロジェクトとしてまとめつゝある。 3.新たに、暗黒物質として2成分の無衝突粒子が存在する場合の銀河,宇宙の大規模構造形式について調べた。これは本課題遂行中に新たに見出された課題であるが、通常銀河のみならず、矮小銀河,ライマンα雲という銀河より質量の小さいシステムも合されて形成されるとするモデルである。現在のところ、このモデルは輪郭が描かれたところで、さらに観測と比較するにはより詳しく解析する必要があり、今後につなげてゆく課題である。
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