磁気星間雲の収縮過程について研究し、次のことを明らかにした。 1.磁場の散逸過程には、プラズマドリフト(両極性拡散)とオーム散逸がある。正負の主要荷電粒子が平均的に磁場によく凍結している時には、前者の方が有効であり、凍結していない時には、後者の方が有効である。 2.磁場の散逸の速さは各種荷雲粒子の存在量に依存する。気相に残る重元素量に関するいくつかの極限的な場合について、荷電粒子の存在量を調べその結果を用いて、磁場の散逸時間を調べた。その結果、ガスの密度が約【10^(11)】【cm^(-3)】以下では、磁場の散逸時間は自由落下時間の10倍をこえることが明らかになった。 3.星間雲の構造として、代表的な2つの場合について調べた。表面に平行な磁場をもつ平板状雲では、磁場が散逸しても、ガス圧によって力学平衡を保持できるので、比較的低密度のまま磁束を大幅に減少させることができる。しかし、このような雲は重力的に不安定で、磁束減少時間よりも短い時間で、異った構造に移ってしまう。そのため、このような雲での結果は現実のものとは考えられない。円板に垂直な磁場をもった現実的な雲では、磁束がある臨界値よりも小さいと、ガスが等温的である限り、ほぼ自由落下時間で際限なく収縮できる。そのため、密度が約【10^(11)】【cm^(-3)】以下の状態では、磁束の減少は極めて小さい。 4.ガスの密度が約【10^(12)】【cm^(-3)】をこえると、正負電荷の固体微粒子とイオンが主要荷電粒子となり、電子は少数派である。イオンと固体微粒子はこのような高密度では磁場に十分凍結できないので、磁場はオーム加熱により散逸する。これは非常に効率がよいので、ガスと磁場の結合はこの密度ではほぼ断たれている。このような状況では、ほぼ無電流磁場しか存在できない。
|