研究概要 |
4-メチルアンモニウム[N【(CH_3)_4】]基を含む硫酸アンモニウム[【(NH_4)_2】【SO_4】]系強誘電体としては、【{N(CH_3)_4}_2】Zn【Cl_4】,【{N(CH_3)_4}_2】Co【Cl_4】,【{N(CH_3)_4}_2】Cu【Br_4】などが知られている。一方、RbLi【SO_4】,【NH_4】Li【SO_4】のようなABX【Y_4】型強誘電体も見い出されている。そこで,【{N(CH_3)_4}_2】【XY_4】およびN【(CH_3)_4】B【XY_4】(B:1価正イオン,【XY_4】:【SO_4】,Zn【Cl_4】など)型物質の結晶を育成し、それらの諸物性を、特に強誘電性吟味の見地から、測定した。 まず、強誘電体【{N(CH_3)_4}_2】Zn【Cl_4】,【{N(CH_3)_4}_2】Co【Cl_4】の誘電性や熱異常、熱膨張の様相を詳細に報告した。 また、組成式にN【(CH_3)_4】HS【O_4】の水溶液から得た結晶のうち、約40℃で育成した結晶はN【(CH_3)_4】H【SO_4】・【H_2】Oであり、約90℃で育成した結晶はN【(CH_3)_4】HS【O_4】とN【(CH_3)_4】H【SO_4】・【H_2】Oとの中間物質であることが判明した。前者は-104℃と約40℃の温度域で強誘電性を示すことが明らかとなった。未だ、完全なN【(CH_3)_4】HS【O_4】は得られていない。 そのほかのN【(CH_3)_4】BS【O_4】型物質やN【(CH_3)_4】BZn【Cl_4】型物質の結晶育成にも努力した。これらすべての物質の単結晶は得ていない。しかし、いくつかの物質に相転移を見いだし、それらの誘電性の吟味を続行中である。 通常、【{N(CH_3)_4}_2】Ni【Cl_4】の単結晶は有機溶剤蒸発法で育成される。約80℃のN【(CH_3)_4】Cl:Ni【Cl_2】=2:1の水溶液からはN【(CH_3)_4】Ni【Cl_3】の結晶が得られ、-106℃と160℃で明瞭に相転移することを見いだした。 本研究では、4-メチルアンモニウム基を含む多種の硫酸アトモニウム系物質の結晶育成に努め、それらの相転移の様相を明らかにしてきた。今後は、特に、RbLi【SO_4】のようなABX【Y_4】型硫酸アンモニウム系物質群についての研究を進め、それらの誘電性、インコメンシュレート性などの原因を明らかにして行きたい。
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