研究概要 |
本研究計画では, 以下の問題点に関して仕事を進めて来た. 三年間の研究の結果, 各々のテーマに関して満足すべき結果が得られている. (1)等温・等圧の分子動力学法コンピューターシミュレーションにより, 計算機の中でアモルファス構造を作製. 特に, 等圧下で温度を順次変化して, 低温のfcc構造を熱したときには融解がおこることを確かめた. 計算機の中で融解を実現したのはこれが初めてである. さらに高温の液体を徐冷した場合には, 体積の急速な変化を経て結晶化がおこり, 急冷した場合にはガラス転移を経てガラス転移を実現してみせた. (2)アモルファス構造のミクロな構造分析:このようにして得られたアモルファス構造の原子配置に関しては, コンピューターの中に全ての情報が入っているので, これを上手に処理して, アモルファス構造の本質的な特徴をおさえることができた. 特に二十面体的対称性をもつクラスターが, アモルファス構造の安定化に働くことを確認した. (3)上述の方法で構築したアモルファス構造をアニールした際に, 原子の配置が時間的にどのように変化するかを視覚的に見るために, これを映画およびビデオの形に表現することができた. (4)バルクのアモルファス半導体およびアモルファス半導体超格子の光吸収係数の理論的研究: 特に, バルクのものでは, ゆらぎの分布の形と光吸収係数の裾の形の相関を調べた. 又後者では, 井戸層の厚さの変化を, (a)C軸方向のトンネルの大きさ, (b)C軸方向のトンネルの大きさのゆらぎの大きさ, (c)井戸層内のゆらぎの大きさ, に反映させて理論を表式化し, 実験の解釈を行った.
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